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信司は聡から手を離して床に正座させ、自分はソファに体を沈めながら言った。
「なんでコイツがここにいんのか、さっさと話せ」
「は、話すからそんなに鋭い目で睨まないで……」
聡は完全に怯えていた。
そんな息子にビクビク怯える情けない聡に、信司は冷酷に言い放つ。
「早くしろよ」
「はひぃっ! こ、琴乃がうちの会社の前で倒れてたから僕と春が保護したんだけど会社にいさせる訳にもいかないし春が『そういやあいつ彼女いなかったなー』って言ったからここに送り出し――ブハァ!?」
長い足を利用し、信司は聡の顔面を蹴った。
そしておもむろに立ち上がり、床に這いつくばっている聡を冷めた目で見下す。
「遺言は?」
「ま、まって! 行き倒れてたんだよ!? お前に慈悲の心はないのかい!?」
「てめえが拾ったんだからてめえで何とかしろ。責任って言葉知ってんのか?」
聡は必死に説得するが、信司は説得されるどころか半ば呆れたような表情を浮かべる。
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