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「めんどくさ」
信司ははあっ、と大きくため息をついた。
「まあまあそう言うなダーリン」
隣を歩く琴乃がニコニコしながら言う。
「……もうそれスルーするわ」
「なっ!? 私の崇高なボケをっ!」
無視。
琴乃が来た翌日の土曜日、信司と琴乃は県内でも大きなショッピングモールに来ていた。
理由は琴乃の日用品を買う為だ。聡が『琴乃が欲しいものはなんでも買ってやれYO!』と言ったので、服やらなんやらを買っている。
だが、事あるごとに琴乃がふざけて抱きついたりしてきたので信司は大分疲れてきていた。
「というか日下部、なんでも買っていいと言っていたが……さすがにそれは悪いのではないか……?」
琴乃が遠慮がちにつぶやく。
(コイツ……、傍若無人な感じが漂ってやがったけど案外一般常識はあったんだな)
「ああ。どうせあのクソ親父の金だから好きなだけ欲しいもん選べ」
なかなか鬼畜なことを考えながら信司は言う。
その言葉を聞くと琴乃は笑顔になり、言った。
「よし! じゃああのノートパソコンが欲しい!」
「遠慮もへったくれもねえなお前!」
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