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何故かニヤニヤしている琴乃だったが、その発言とともに信司には謎だった。
「意味わかんねえよその賭」
「まあまあ。とにかくやるのかやらないのか?」
「んー。じゃあやる」
コイツの戯言につき合ってやろうかな、と気分で思い信司は承諾した。
……琴乃の不敵な笑みに気付けず、そして……あんな事態になるとは思いもせず――
☆
「あ」
反射的に信司の口からは声がもれていた。
琴乃とデートよろしく帰宅中に、"いた"のだ。
ナンパされてる少女が。
だが琴乃は気付いていないようだった。
あそこの喫茶店の紅茶は美味だったな、と紅茶についてずっと語っている。
……ホームレスだったのに。
琴乃も気付いていないようだし、信司は何食わぬ顔で通り過ぎる事にした。
だが――
「おっ! 信司ーっ!」
信司を呼ぶ男の声が響いた。
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