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「ここが私の新しい家か!」
「騒ぐな。うるせえ」
きゃーきゃー騒ぐ琴乃を呆れながら見ていた信司は深くため息をついた。
(あー追い出してー)
心の中でつぶやいてみる。
しかし残念ながらそれはできなかった。
先程、"あるやり取り"をしてしまったからだった。
時は少し遡る――
☆
信司は家に入ってすぐ何か知っているらしい父親のケータイに電話を掛けた。
『もっしもーし! どうも信司くんのパパだよー!』
ワンコールで出た。
テンションが何故か高い。
「おいクソ親父。すぐオレの家に来い。用件はわかってんだろ」
『え? 久々に電話してきたと思ったらなんでそんなに怒って――』
「しらばっくれんじゃねえハゲ」
『いやん怖いよ信司くーん!』
「殺すぞ」
『反抗期か! そうかそうか父さんにもそんな時――』
ぶち。
話が長くなりそうだったので信司はそれ以上何も言わずに電話を切る。
無理矢理家に入ってそのままどっしりと深く座った琴乃だったが、そのここからまったく出ていきそうにない様子を見て信司は直ぐ様父親に電話した。
久々に話した自分の父親がこんなに気持ち悪い存在だとは想像もしていなかった。
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