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心地の良い昼下がりだった。
日向が似合う公園のベンチに腰掛け、よく冷えたビールでも飲めたら最高だろう。そう思わずにはいられない日和。
実際、男にはそうするだけの時間ならいくらでもあったので、実行に移そうと外に出た。
街ゆく人々の歩調が、いつもより遅く感じる。
鉄の蛇を思わせる車の列は、速度が増している。
ありきたりの光景を目の当たりにし、男は気づく。
今日が日曜日である事に。
もっとも男には、曜日を気にすることなのない生活がしばらく続いていた。
いつもの公園に辿り着きベンチに腰掛け、冷蔵庫から抜いてきたビールを一気に煽る。
缶ビールがまるでどこかの雑技団の様に男の唇の上で逆立ちした。
アルコールが毛細血管の隅々にまで巡る快感。
男は目を閉じ、鼻孔からゆっくりと空気を吸引した。
鼻から抜けるアルコールを逃さず体に取り込む為には、この飲み方が最も効率が良い。
一時の恍惚が過ぎ、ゆっくりと瞳を開くと、そこには1人の少女が立っていた。
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