天使と交尾

4/11
前へ
/11ページ
次へ
「いらない。まだ中学生だから」   少女は首も振らずに言った。   「そうか。それは悪かった。 昔から、女の子の年齢には見る目がないんだ」   そう言って男は、2缶目の口を切りながら続けた。   「座ったらどうだい?」   「ありがとう」   羽毛の様にふわりと腰を掛けた少女は、見かけよりもずっと小さく感じられた。   「どうして泣いてる?」   「どうしていつも飲んでるの?」   「なぁ、質問を質問で返すなって、先生に教わらなかったのかい?」   「いつもここで飲んでるのね。 ママが教えてくれたわ。 あなたみたいな大人になるなって」   やれやれだ。 話が噛み合わない。 男はビールを口に含み、鼻腔から深く空気を吸い込んだ。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

78人が本棚に入れています
本棚に追加