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「いらない。まだ中学生だから」
少女は首も振らずに言った。
「そうか。それは悪かった。
昔から、女の子の年齢には見る目がないんだ」
そう言って男は、2缶目の口を切りながら続けた。
「座ったらどうだい?」
「ありがとう」
羽毛の様にふわりと腰を掛けた少女は、見かけよりもずっと小さく感じられた。
「どうして泣いてる?」
「どうしていつも飲んでるの?」
「なぁ、質問を質問で返すなって、先生に教わらなかったのかい?」
「いつもここで飲んでるのね。
ママが教えてくれたわ。
あなたみたいな大人になるなって」
やれやれだ。
話が噛み合わない。
男はビールを口に含み、鼻腔から深く空気を吸い込んだ。
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