天使と交尾

5/11
前へ
/11ページ
次へ
次に口を開いたのは少女だった。   「1つ聞いてもいい?」   「Your Welcome」   男は発音が良い。 少女は微笑んだ。 天使ってのは金髪で、太っちょなんじゃなかったのか?   「わたしのこと、可愛いと思う?」   あまりに唐突な質問に、男はおどけながら答えた。   「客観的に見れば、可愛い部類に入るだろうな。 学年に1人、いるかいないか位のレベルだよ。 俺の時にはいなかった」   「ママは可愛くないって言うの」   「それは仕方ない。大人ってのは自分に似た者をなかなか受け入れられないんだ」   「この髪もママが切ってくれたの。わざと下手くそにね」   「個性的だよ。ピカソだって初めから理解されてた訳じゃない」   少女は怪訝そうな表情を浮かべ、男の顔を覗き込みながら言った。   「どこの口がものを言ってるの?」   「おかしな事を言うね。俺の口は一つだけだったはずだよ。 ビールを飲む口で君を励ましてる」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

78人が本棚に入れています
本棚に追加