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機を立て直し、上昇した。
「これが…Bクラスの実力なのか…」
あ然としながらも、イダテンは池のほとりに機を降ろし、ゴーグルをはぎ取った。
ウイングスも隣りに機を揃え、汗まみれのヘッドギアを外した。
そこへ向かってきたジュリアだったが、四人の真上で再びホバリングし、降りてこようとはしない。
どうかしたのかといぶかるその目前で、ジュリアはガンを手にしたまま、苦しげに胸を押さえている。
大きいゴーグルと闇のせいでその表情をうかがうことは出来なかったが、明らかに荒い呼吸をしている。
「ど、どうかしたの?」
純が下から声をかける。
すると、ジュリアは今始めて彼らの存在を認めたかのように、びくっと肩を震わせ、コントロールスティックを引き倒した。
「えっ…?」
驚く四人をよそに、ジュリアはふらつきつつも上昇していく。
徐々に姿を闇に隠していくジュリアに、巧が声をかけた。
「負けたらコアを取られるんじゃないの?」
「……」
頭痛でもしているのか、ジュリアは額に手と銃のグリップを押しつけ、無言を押し通す。
「あんた大丈夫か? 医者呼んだ方がよくないか?」
ジュリアはゆっくりと首を振り、さらに上昇を続ける。
「あ、待って下さい!」
ジュリアの機影が見えなくなる直前、司が叫んだ。
「そんなにたくさんパープルコアを集めて、あなたはいったいどうしようというの!?」
もはや闇の一部となりつつあるジュリアは、重苦しい吐息を吐き出し、そこに答えが記されているかのように空を見上げた。
「…あの空に…帰るんだ…」
押し殺すような呟きを残し、ジュリアは夜空に消えていった。
しばらくは四人とも空を見上げたまま押し黙っていた。
池のほとりにはさざ波が断続的にうち寄せている。
風が出てきた。
汗ばんだ肌に強めの夜風が心地よい。
なんとなく何もする気が起きずに水面を眺めていた涼だったが――
「う、うわぁっ!」
背後から投げつけられた純の素っ頓狂な声に首を振り向かせた。
純はバトル後のいつものクセで、ユニットの蓋を開けて中を覗き込んでいたのだ。
三人が顔を向けると純は自分のコアを胸に抱いていた。
心なしか、その手がわなわなと震えているように見える。
「つ、司ちゃん…ヘッドライトつけて…」
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