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大会の朝。
目が覚めると、空に太陽の姿はなかった。
風はさほどではないが、黒い雲が低く垂れ込め、空に巨大な渦を巻いている。
涼は不思議な胸騒ぎを覚え、灯台の縁に立った。
いつもと違う空。
最近は晴天続きだったが、悪天候の陰鬱さは先月の梅雨でたっぷりと確認済みだった。
だが、この感じはそれにも当てはまらない。
いつもと違う雰囲気。
空気が淀んでいる。
涼にはそう思えて仕方がなかった。
その気分は迎えに来た純と共にセントラルパークまで飛び、受付の確認を行ったあとでも、どこか頭の片隅に引っかかっていた。
メガフロート・セントラルパークに集まる人出は、天候のせいか先日ほどではない。
それでも円形競技場は八割方の席が埋まっている。
滞りなく予選を通過した涼と純は外の選手待機コーナーで本戦前の慣らしに入っていた。
サドルの下のユニットに納められているのは紛れもなくパープルコアなのだ。
それを考えると自然に頬がゆるんでくる。
邦彦の忠告により、人には話していないが、心持ち押さえ目にバトルしていた予選はともかく、本戦では全力を出さないわけにはいけないので、動きで知られてしまうだろう。
同じく本戦出場を決めたウイングスと共に、本戦でPクラスゲーマーとして華々しくデビューを飾るつもりだった。
周りから隠すようにしてユニットの中を覗き込んでいた涼が、CZ75にシリコンオイルを注入していた純に声をかけた。
「姿が見えないけど、琳のヤツ、今日は来ないのか?」
「うーん、来るとは言ってたんだけどね」
純は軍パンの腰につけているホルスターに動作確認したCZ75をしまった。
「でも昨日も午後から飛びに行ってたらしくてさ、帰ってきたのはボクの後だったんだ。顔見せに来ないところを見ると、まだ寝てるか、素直にギャラリー席に行ったか、どっちかだと思うよ」
「そっか…この前送ってもらったお礼にパープルコアを見せてやりたかったのにな…」
残念そうに呟きくと、涼はサドルを戻し、エアバイを浮かせてみた。
軽くスティックを引いただけで機体が激しく傾く。
そのレスポンスの俊敏さに涼がにんまりとしていると――
「ご満悦ですわね、イダテンさん」
先日と同じように、真上から派手な機体をピンポイントに降下させ、
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