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僕は放課後、毎日教室に残る習慣があった。そこに人がいようがいまいが関係は無かった。ただ、早い内に家に帰りたくないのでそうしていたかった。
今日は、僕以外に男子3人と女子1人がいた。いつもは皆すぐ帰って1人だけになるのに。
「おら、お前うぜえんだよ!」
窓際の隅。怒鳴り声と同時に壁を殴る音。五月蠅い。男子同士で喧嘩でも始めたのか。そう思ってチラッと様子を窺った。
「おい! 何とか言えよ!」
「……」
違ってた。男子3人が女子を取り囲んでいる。そのせいで僕のいる位置からは女子の顔を確認する事は出来なかった。
というか、女子1人を男子3人掛かりで虐めていたのか。なんて馬鹿な事を……。まあしかし、僕には関係の無いことだ。
「やっちまうぞコラァ!」
そう言って金髪に染めた頭が特徴の男子ーー名前が解らないので男子Aとしよう。男子Aが女子のお腹を殴った。鈍い音がこちらにも聞こえてきた。
まさか本当にやるとは。何とも低能な人間だ、と心の中で思いつつも特に興味も無く持っていた本……というか国語の教科書を読んでいた。
「…………」
その場でうずくまったのか、視界の片隅にいた女子が教科書に隠れて死角に消えていった。
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