始まりの朝

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朝の日差しがカーテンの隙間から差し込んでいる。 その窓の向こうに、穏やかな雰囲気に包まれた鳥達が、朝を喜ぶようにヒソヒソと囁き、楽しそうに飛び回っている。 だが、この部屋の主は動き回る鳥達とは逆に、スヤスヤと寝息を立てて安らかな寝顔を浮かべている。 その少女の艶のある金髪が朝の光でキラキラと輝いている。 隣には猫のように丸くなるトラが一匹。 どちらも気持ちよさそうだ。 コンコン 「お嬢さまー!入りりますよー!」 部屋の扉を叩いた音の後に男性と思われる声が続いた。 ガチャっという音が少年の侵入を許す。 黒服に包まれたその人が、笑顔のまま自身の主に近づく。 「お嬢さま!朝です。起きてください。お嬢さま~」 少女の肩を揺らしながらその少年は呼びかけた。 「う~ん」 腕を天にあげ、めいいっぱい朝の香りを吸い込む。 その間に、黒服の少年は窓の方に向かい、穏やかな空気と心地よい風を部屋に招き入れる。 「ああ、ハヤテか、おはよう」 「はい!おはようございます!」 寝ぼけ挨拶に気持ちのいい返事。 『ハヤテ』と呼ばれた少年は、笑顔で主の朝を迎えた。 唐突な彼の笑顔に少女は頬を紅く染め、 「おぉ」っと返すので精一杯だった。
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