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あ!もうすぐ雨降る。
匂いで分かるんだよね。
上手く説明できないんだけど、雨の匂いを鼻で感じるんだ。
雲が抱えきれなくなった雫を地上へと降り注ぐと、人々の動きは慌ただしくなる。
鞄から折畳み傘を取り出したり、鞄を頭上にかざして走ってたり。
近頃は雨ガッパを着る人なんて滅多に見掛けなくなったな。
でも私は雨に濡れるのは嫌いじゃない。
小雨程度なら傘など差さずに平気で歩く。
朝から気合いを入れてセットした髪や、化粧なんか二の次。
ヒールやブーツじゃなくて長靴なら水溜まりも踏み鳴らしたい。
車道から降り掛かる泥水だけは傘でかわしたいマイナス要因だけど。
雨が止むとやってくるキラキラ眩しい日差しも、七色に光る虹の橋なんか机の引き出しにしまいたい宝物のようにさえ思える。
鳥の囀り
アスファルトの薫り
時を急かす車のクラクション
また恋がしたくなる
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