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気付いたら、だった。
気がついたら、君の唇に自分の唇を重ねていた。
唇は意外と温い体温をもっているが、その体温が髄に響く。
君が目を見開く。ああ、驚いているんだ。
やってしまった後は、意外と冷静でいられた。
「なぜ、」
唇を離した後に、すぐ君は僕に問うた。
当たり前だ、君にとって訳の分からないことをいきなりされたんだから。
それでも、僕は、答え切れなかった。
ぼんやり地面をみつめる。
「失礼します」と言った君がパタパタと歩き去る音が耳をかする。
後に残ったのは、淡い色の月と、独りぼっちで照らされる僕だけだった。
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