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部屋はまぁ容姿の通りきちんと整理されていた。
無駄なものは一切置かない、理想的な空間。
俺と浩也の部屋も散らかっているわけではないが、いかんせん浩也は筋がね入りの読書家。
ソファーの足元には積み重ねられた本が、気にするほどではないが少なからず足場を悪くしている状態。
座り心地のいいソファーに浅く腰掛け部屋をマジマジと見ていると、いかにも高級そうなお茶会セットが猫足のテーブルの上に置かれた。
そこで俺の様子を見ていたらしい隼先輩が訪ねた。
「なんか珍しいもんでも置いてあったか?」
「…ていうかむしろその逆。
物そんなに置かないんですね。」
珍しく会話が成り立ったことに驚いたのか隼先輩は少々目を丸くして、やがて、「あぁ」と切り出した。
「俺も同室のやつも、干渉したがらない質(タチ)だからな。
共同スペースにはお互いのプライベートを持ち込まないことにしてんだ。
そういう約束したわけじゃねぇが、まぁ…自然にな。」
ここって共同スペースっていうのか。
リビングかとばかり思っていた。
とまぁそれは置いといて、俺には一つ気になったことが。
「…ってことは、いつから同室なんです?
話を聞く限りじゃあ昨日今日って感じではないですよね。」
「ここじゃあクラス替えと同時に部屋が変わる。
新入生が入る二週間前…三月末にゃあお引越完了。
新入生の荷解きと同時に部屋の移動になったとくりゃ、入学式の準備も重なっててんてこまいだろ。」
「はぁ。」
そんなもん?
執行部関係者以外は、特に関係ないと思うが…
ま、俺の口出すところではないわな。
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