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そうだ、頭突き。
頭突きならいいかな。
お互いダメージあるから均等にいくよな。
良いよな、俺も痛いんだから。
そぉいっ!せーのっ…!
と俺があらぬ方向へ思考を飛ばしていたそのとき、ドアが開く音がした。
「たっだいまんこー」
最早その挨拶にツッコミを入れる余裕など俺にはない。
助かった…!
「ふんふふ~ん……あら?」
「………お邪魔して、ます…」
(…同室者ってアンタか…!)
そこに呆然と立ち尽くしていたのは、青柳先輩その人だった。
…まぁいい、誰であろうと、この現状を打破出来れば…
「あ、青柳先輩、助け…」
「うわぁいっ!
ハヤブッチョ、俺も混ぜて~!」
死ねぇえぇえええ!!
本気で頭突きの体勢にすると、諦めたようにナルシストが体を離した。
おや、意外と潔い…?
「あークソ、貴様のせいで萎えた。」
空気のせいですか、そうですか。
「ええ?酷くない?
まぁ準くんが良いなら俺は退散するけど…」
「いてください」
やったねーなんて昼時同様にヘラヘラ笑う青柳先輩。
「テメェももう帰れ。
しづるがいちゃあ禄に話も出来ねえ。」
いやいや、話を中断させたのはあなたなんですがね。
とはあえて口に出さない。
ふてくされた顔で、自室に入って行ったナルシスト。
まぁなんて傲慢なゴリラなんでしょう。
附に落ちないけども、俺も退散しますかね。
「じゃ、俺はこれで…」
頭をモサモサと掻く青柳先輩の前を、一礼して通り過ぎる。
「あ、待って待って~」
ドアの前で靴を履いていると、小走りで先輩が近寄ってきた。
今度はなんだろうか。
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