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今年の種目は、どうやら3つに分かれるらしい。
サッカー、バスケ、そしてドッヂボール。
見事に球技大会だ。
俺は特別何が出来るわけでもないし、余ったものに適当に入ればいいだろう。
バスケの補欠に入って一日中呑気に過ごすのもいい。
が、ここは公平を期してくじ引きにするのだそうな。
中山の発案だ。
一人一人席順にくじを引いていく。
得意種目だと嬉々として騒ぐ一方、お先真っ暗と言わんばかりにうなだれるクラスメートもいる。
「サッカー…」
程なくして浩也が近づいてきた。
さして興味もないのか、無表情に紙を見つめている。
「サッカーか。
屋外は暑そうだな。」
「…屋内も熱気が…」
「あぁそうか、確かに…」
熱は屋内のほうがこもるのかもしれない。
「はぁ、メンドクセ…」
言いながら自分の番になった。
クッキーの空き箱に散らばる四つ折りの小さな紙を、選ぶでもなく無造作につまみ上げる。
「なに?」
落合がチョーク片手に訊いてきた。
空気で急かされ、紙を開いた。
「バスケね。
木ノ下はバスケ、と…」
蛇のような字が、俺の名字を書く。
名字から上を辿れば『バスケ』の文字。
(最悪…)
寄りによって一番手抜き出来ない競技に当たってしまった。
(ちょっとでも欲をみせたからかな。
…いや、神様の不公平のせいだ。)
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