3890人が本棚に入れています
本棚に追加
地味にドッジで逃げ回るほうが嬉しい(むしろ逃げ切れる自信がある)のだが、公平の名のもと仕方がない。
球技が不得意ではないことが唯一の救いだ。
…得意でもないが。
練習は翌日の体育の時間に行われた。
既に屋内組は体育館に集まり、更に種目別に分かれている。
それに習って俺も傍に寄る。
浩也と賢太はサッカーで、着替えが終わるとすぐに分かれた。
一人でいる時間が意外にも少なかったのか、なんとなく違和感。
…友達に依存してるわけじゃないが。
まだ始業のチャイムが鳴るには早いらしく、各々チーム内の友人たちと話をしていた。
俺はほんの少し意識を飛ばしながらその場にしゃがみこんでいたが、完全に空想タイムに陥る寸前で意識を引き戻された。
「おーお前もバスケだっけ?
よろしく!」
「ん?あ、あぁ…」
(あらま、なんだか好青年だこと)
真っ黒な短髪。
ガッシリとした体つき。
端正な顔立ち。
極めつけは、その爽やかスマイル。
「増岡だよな?
こっちこそよろしく。」
「あ、名前知ってた?」
「そりゃまぁ、同じクラスだし…」
喋ったことはないけどな。
「ははは、だよな!
でも悪ィ、俺お前の名前知らねぇんだわ!」
ははははは
何が面白いのか、芸能人ばりに白い歯を剥き出しにして笑う増岡。
いや、にしたって聞き捨てならんことを今…
「…木ノ下」
「あ、お前が木ノ下か!
黒板の名前見ても、俺未だに
自分の周りの奴以外顔と名前が一致しなくてさー…
悪いな!」
「いや…」
むしろ清々しいさ。
最初のコメントを投稿しよう!