…五月晴れの空を鯉が悠々と泳ぐ

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増岡は尚もはははと笑うと、俺の隣に腰を下ろした。 「ま、せっかくだしこれからよろしく頼むわ!」 「おぉ、こっちこそ」 よろしく。 「俺バレー部なんだわ。木ノ下は?」 「いや、特になにも。」 「そうかー! ははっ、なんか天文部とか入ってそうだよな!」 「そうかい。」 ……これ、わざとじゃないんだよ、な? 「あ、気ぃ悪くした? ワリィ、貶してるとかそんなんじゃなくてさ…」 …わざとじゃないんだな。 「いや、別に気にしてない。 地味なやつは頭良く見えるもんな。」 「気にしてんじゃねぇか!」 お前変なやつだな~ 面白いやつだな~ と、なかなか増岡の口元が閉まらない。 しかしふと、増岡が俺の方から顔を背けた。 「……俺、もっと早くお前に声掛けてりゃ良かったかな。」 「え?」 「…や、なんでもねぇよ!」 わしわしと頭を撫でられ…というか、掴まれる。 そのとき、ピーッと空気を切るような笛の音が響いた。 「あ、先生…」 「おー行くか!」 これから始まるスパルタ授業に腰が重い。 俺がのそのそと立ち上がるのを、急かすこともせずに増岡が待つ。 「くたばんねー程度に頑張ろうぜ!」 「んー」 …気持ちはだいぶ、軽くなった…かも。
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