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増岡は尚もはははと笑うと、俺の隣に腰を下ろした。
「ま、せっかくだしこれからよろしく頼むわ!」
「おぉ、こっちこそ」
よろしく。
「俺バレー部なんだわ。木ノ下は?」
「いや、特になにも。」
「そうかー!
ははっ、なんか天文部とか入ってそうだよな!」
「そうかい。」
……これ、わざとじゃないんだよ、な?
「あ、気ぃ悪くした?
ワリィ、貶してるとかそんなんじゃなくてさ…」
…わざとじゃないんだな。
「いや、別に気にしてない。
地味なやつは頭良く見えるもんな。」
「気にしてんじゃねぇか!」
お前変なやつだな~
面白いやつだな~
と、なかなか増岡の口元が閉まらない。
しかしふと、増岡が俺の方から顔を背けた。
「……俺、もっと早くお前に声掛けてりゃ良かったかな。」
「え?」
「…や、なんでもねぇよ!」
わしわしと頭を撫でられ…というか、掴まれる。
そのとき、ピーッと空気を切るような笛の音が響いた。
「あ、先生…」
「おー行くか!」
これから始まるスパルタ授業に腰が重い。
俺がのそのそと立ち上がるのを、急かすこともせずに増岡が待つ。
「くたばんねー程度に頑張ろうぜ!」
「んー」
…気持ちはだいぶ、軽くなった…かも。
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