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「フッ…相変わらずだな。」
クロメルはギメルの対応に気を悪くすることなく、愉しげに微笑んだ。
「ギメル様…一体、何故ここへ?」
そこへようやく現状を把握したケリンズが唖然とした面持ちで口を挟んだ。
「ナーガから報告が入った。
今、俺達の戦力を削るわけにはいかねぇんだよ。」
ギメルは不機嫌そうに小さくチッと舌打ちをするとケリンズを睨む。
「(ギメル様御自身がわざわざ?)」
確かにケリンズの疑問は当然の
ことである。
大組織のトップの人間がわざわざ一幹部の為に動くだろうか?
「てめぇを含めアルナージは全員、別件で特殊任務中だ。
だから、仕方無く俺が出たんだ」
ギメルはケリンズが言いたいことを読み取ったのか、面倒臭そうに告げる。
ケリンズの監視を命じられていたナーガにも別の任務を任せた為、ギメル本人が出る羽目となったのだ。
「総統…私ッ…」
その頃、リナスは必死に何かを
訴えようとしていたが、思った通りの言葉が出て来ず、口を噤<ツグ>んでいた。
「何も言わなくていいですよ。
よく頑張りましたね…リナス。」
ティアリスは動揺しているリナスを落ち着かせる為に優しく語り掛ける。
そして、ゆっくり立ち上がるとリナスに背を向け、ジェイクと対面し、徐に口を開いた。
「私の部下が随分と御世話になったようで…。
御礼は、本部の方でゆっくりとさせていただきます。」
そう言ったティアリスは口元を微かに緩めているものの、その瞳は
至極冷徹なものだった。
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