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「(“例”の自己防衛本能が働いたのか?
それとも、これが報告書に記載されてあった『浸食』なのか?
クククッ…どちらにせよ…)」
ジェイクは最早、抑えきれなくなっていた、高ぶる感情を…。
「よいぞ…よい瞳だシュバルツ!
さぁ!我に見せてみよ、貴様の
“真”の力を…古より禁縛されし、その力を!」
ジェイクは両手を広げ歓喜に顔を歪ませながら、高らかに声を張り上げた。
「…………………」
だが、シュバルツに動く気配はなくただ、焦点の合っていない瞳をどこかに向けているだけ。
「どうした?…来ないのなら此方から…」
反応がないシュバルツに痺れを切らしたジェイクは自分から動こうと剣を構えた瞬間…
自分の前方に居た筈のシュバルツが忽然と目の前に現れたのだ。
「…なっ!?」
「…………………」
そして、シュバルツは手に持つ漆黒刀でジェイクを無造作に切り上げた。
「…ぐっ!」
間一髪で太刀筋を見極めたジェイクは、なんとか斬撃を防いだが、そのあまりに強烈な切り上げに体は宙に投げ出される。
「まだだ…」
ジェイクは小さく呟くと宙で体を翻し、何事もなかったかのように地面へ着地する。
「こんなもか…貴様の力は!」
そして、凄まじい怒号と共にシュバルツに急接近し斬り掛かる。
二人の刃が交差すると同時に、これまでとは比べ物にならないほど強い突風が森全領域へと吹き荒れた。
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