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「おい、てめぇ等…いつまで呑気に話してんだ?」
話し込んでいる二人に向かってギメルが凄みの利いた声で問い掛ける。
だが、当の二人は突然声を掛けられ意図が把握出来ない様子。
「来るぞ…」
そんな二人を横目に、ギメルは前方に睨み付けながら低く呟いた。
「…!」
ようやく、その意味を理解したクロメルはバッと前方に目を向ける。
すると、こちらに向かってゆっくりと歩を進めるシュバルツが目に映る。
「(クソッ…気付きやがった。)」
クロメルは、すぐさま剣を抜き放ち臨戦態勢に入る。
「…………………」
だが、一方のギメルは何故か抜剣していた剣を再び鞘に納め、腕を組んでしまった。
「おいおい…素手でやるつもりか?」
クロメルは納剣したギメルに訝しげな表情を向けながら聞いた。
「他人の戦いに首を突っ込むのは主義じゃねぇ…」
ばつが悪そうに眉を顰めるとギメルは溜め息混じりにそう答えた。
「首突っ込むつったって…あいつ等の戦いはもう、けりが付いた筈だろ。」
ギメルの言葉に疑問を抱いたクロメルは納得いかない様子で聞き返す。
「黙って見てろ。」
そんなクロメルに一々説明するのが面倒になったのか、ギメルはその問い掛けをを無視し、前方を見据えた。
浮遊していた粉塵は今や消え、ぽっかりと開いた巨大なクレーターが露わになっていた。
恐らくジェイクが地面に叩き付けられた際に出来たのだろう。
そのクレーターの巨大さが、あの衝撃の凄まじさを物語っている。
そして、その横をシュバルツが通り過ぎようとした、その時…
一陣の風が吹いた。
すると、突然…シュバルツは身を翻し、クレーターから距離を取ると、前<サキ>まで自分が居た場所に鋭い眼光を向けた。
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