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「…………………」
クレーターから離れたシュバルツは体勢を低め、ゆっくりと刀を体の横へ移す。
すると…
その数秒後…クレーターから突然、何かが飛び出して来たのだ。
宙へ飛び上がったそれはクレーターを隔ててシュバルツが居る方と反対側へ着地した。
「嘘だろッ…あの野郎、まだ生きてんのか…」
クロメルは目を見開き、着地した“人間”を見据えていた。
そう、ジェイクを…。
身に着けていた服はボロボロで、体の至るに傷跡が目立つ。
だが、不思議なことに彼からは疲労感や焦燥感と言った類の負情は全くと言っていいほど感じられなかった。
そんな中、俯いていたジェイクが不意に言葉を発するのだった。
「なるほど…どうやら、生きたまま“捕獲”しようとしたのが間違いだったようだ…。」
ゆっくりと顔を上げたジェイクは、背筋が凍り付くほど冷たい声色で言葉を紡いだ。
そして、次の瞬間…
彼はクレーターを隔てたシュバルツの背後に突如、その姿を現した。
「…!」
これにはシュバルツも驚いたのか、一瞬だけ目を見開くと、すぐさま刀を背後に向かって振り下ろす。
「遅い…」
だが、その斬撃はジェイクの剣と交差した瞬間、いとも容易く跳ね返された。
それと同時にジェイクは、防御が手薄になったシュバルツの腹部に容赦無く、前蹴りを叩き込む。
もろにそれを食らったシュバルツは成す術もなく、森林内に吹き飛ばされ、砂塵を巻き上げた。
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