10989人が本棚に入れています
本棚に追加
「“奴ら”には借りがあるからな…出来るだけ無傷で連れて帰ろうと思うたが…終いだ。」
巻き上がる砂塵を見詰めながらジェイクは至って静かな口調で言葉を紡いでいた。
「来るがよい。
“あの日”の絶望を今一度思い出させ、己の存在が何たるかを再びその身に刻んでくれよう。」
そう言うとジェイクはボロボロになった自分の衣服を引きちぎる。
ビリッと布が裂ける音と同時に露わになった鋼のような肉体が彼の力を主張していた。
そして、それが合図だったかのように、砂塵の中から黒い影が飛び出し、ジェイクに向かって突き進む。
するとジェイクは、いつかのように剣を高速で振り、衝撃を飛ばしたが、それは標的を捕らえることなく地面を抉り、影はジェイクの背後に回った。
「無駄だ…」
だが、まるでそれを予知していたかのようにジェイクは後方から迫る斬撃を受け止める。
「…………………」
斬撃を止められたシュバルツは素早く左手をジェイクの喉元にに伸ばしたが、あっさりとその腕を掴まれてしまう。
「今度は、此方からゆくぞ。」
その言葉と同時に、掴んでいる腕を強く引き、シュバルツを上空に投げ飛ばした。
最初のコメントを投稿しよう!