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「…………………」
投げ飛ばされたシュバルツは上空でじっとジェイクを見据えていた。
そして、気付いていた。
自分を投げ飛ばすのと同時にジェイクが剣を振ったことも…。
だが、それがわかっていても空中では避けることは疎か、防ぐことすら出来ない。
最早、直撃は免れないかと思われたその時、何を思ったかシュバルツは刀を構え、衝撃が直撃する瞬間、その刀を振ったのだ。
その行動は誰の目からしても、ただ空で刀を無造作に振っただけに思えただろう。
だが、次の瞬間…彼を挟む形で後方に立っていた両側の木が音をたてて倒れた。
その直後だった…。
「まさか、“風”を斬れるとは思わんだ。」
シュバルツの耳元で悪魔の囁きが届いた。
「…!」
彼が気付いた時には遅かった。
突如、襲ってきた凄まじい衝撃と共にシュバルツは為す術もなく、地面に叩き付けられた。
巻き起こる砂塵とシュバルツによって作られたクレーターより、一回り大きなものがそこには出来ており、その威力を物語る。
そしてジェイクは無表情で、そのクレーターを見据えながら地上に降下していった。
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