10989人が本棚に入れています
本棚に追加
「だが、まだ足りん…。」
笑っていた。
その下ではシュバルツが手の甲に突き刺さる剣を抜こうと無傷の方の手を伸ばしていた。
恐らく、その笑みにシュバルツは気付いていないだろう。
もし彼が、この笑みに気付いていたのなら…
きっと、恐怖で動くことすら出来ないだろう。
そんな狂気染みた笑みを向けながらジェイクは無造作にシュバルツの手に刺さる剣を引き抜く。
するとシュバルツは小さく呻き声を上げたが、ジェイクは容赦無く彼を蹴り上げ、辺りを見回しても一際目立つ巨大な大木の根元に飛ばした。
「クククッ…」
ジェイクは不気味な笑みを零しながら大木の下に横たわるシュバルツの横に立つと彼の頭を鷲掴み、自らの肩の高さまで持ち上げる。
そして
彼の顔面を大木に叩き付けた。
「ぐっ!…ぁ…」
その行為は一度では終わることはなく、ジェイクは何度も何度も大木にシュバルツを叩き付ける。
次第に大木の幹は赤く染まり、ジェイクの体中に点々と血が飛び散る。
そこで漸くジェイクは手を止め、シュバルツをもう一度、肩の高さまで持ち上げる。
だらりと力無くぶら下げられた手足と滴る血。
全く動かない『それ』は最早、生きてるとは思えない。
だが、
そんなシュバルツの手が不意にピクリと動いた。
最初のコメントを投稿しよう!