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「…ぁ…ぅ…」
微かに聞こえる息遣いが確かにシュバルツが生きていることを証明していた。
だが、どうやら気を失っているようで、衝撃が止んだというのになんの反応も見せない。
「ようやく眠りについたか…」
ジェイクは呆れ顔にも似た表情をシュバルツに向けながら小さく呟くと…突然、彼を後方に投げ飛ばした。
気を失っているシュバルツは当然の如く、抗いもせず投げ飛ばされ勢い良く樹木に激突する。
「ぅっ…」
その衝撃のお蔭でシュバルツの瞳がゆっくりと開き、ようやく意識を取り戻したようだ。
しかし、まだ覚醒仕切っていない脳は現状を整理出来ず、虚ろげな瞳はどこを見ているのか定かでない。
「呑気な…。」
それを確認したジェイクはゆっくりと歩を進め、目の前に転がる漆黒刀を拾い上げた。
「皮肉なものだな…」
ジェイクは吸い込まれそうな漆黒の刃をまじまじと見詰め、ポツリと呟いた。
その刀からジェイクが何を感じ、何を考えているのかは見当も付かないが、決して華やかな情ではないだろう。
ジェイクは数秒間その刃を見詰め、すっと目を閉じ…
次の瞬間、シュバルツに向けて突如その刀を投げ放った。
そして
「あ゛ぁぁぁッ!!」
シュバルツは突如、襲ってきた激痛に断末魔の叫びを上げた。
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