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「くッ!…はぁっ…」
凄まじい激痛に嫌でも覚醒したシュバルツの脳は一気に彼を現実へと引き戻す。
「戻ってきたか…。」
そんなシュバルツにゆっくりと歩み寄るジェイクは口の端を軽く吊り上げる。
「ジェイ…クッ…!」
必死に痛みに耐えながらジェイクを睨み上げるシュバルツからは、もう前<サキ>のような殺伐とした雰囲気は感じられない。
「どんな気分だ?
意識が戻り、目の前に広がるのは死体の山ではなく、生きた人間が立っている…貴様の瞳には今の光景がどう映る?」
ジェイクはシュバルツの目の前で歩みを止めると、苦しそうな彼を嘲笑うかのように聞いた。
「黙れッ…」
それでもシュバルツは決して弱気な態度は見せず、あくまで虚勢を張り続けた。
だが、そんな虚勢も次のジェイクの言葉で容易く崩されるのだった。
「貴様も懲りぬ男よ。
そのような強情さが…妹を死に至らしめたというのが、まだわからんのか?」
「な、なぜ…そ…れを…」
声が震えた。
痛みも忘れ、食い入るように彼を見詰めるシュバルツ。
そんなシュバルツからは動揺が隠しきれず、その表情からは恐怖にも似た感情が窺えた。
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