489人が本棚に入れています
本棚に追加
電車が駅を発車して、既に三十分は経過しただろう。
目的地の『濱が丘駅』まで、あと二駅だ。
『もうすぐで駅に着くので、忘れ物をしないようにして下さい。』
先生が生徒達に呼びかける。
私は、鞄の中をチェックしてちゃんと入っているかを確認した。
「美和、カメラってコンビニで買ってもOKかな?」
「さぁ?何で?」
「いや…カメラ買うの忘れちゃって…」
苦笑いする姫禾。
「はぁ~…
そーゆーのは、委員長に聞きなさい。
ほら、目の前にいるし…」
私は、半ば呆れながら向かいに座っている委員長の裕真を指さした。
すると裕真は「何で俺?」と言いたげな表情を私に向けたが、すぐに姫禾の質問に答えた。
「カメラは、先生に許可貰ったら買えると思うぜ?」
「まじ?分かった~有難う!!」
嬉しそうに微笑む姫禾。
『次の停車駅は、濱が丘~』
電車内に、停車駅を告げるアナウンスが流れた。
最初のコメントを投稿しよう!