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「姫禾!李那!!」
私はよろめきながらも立ち上がり、二人を探した。
「美…和、こっち。」
姫禾の掠れた声が聞こえた。
「姫禾!!」
私は姫禾の声がする場所に向かった。
姫禾はさっき居た席とは遠い三つ先の席に居た。
そこには腕を怪我している李那の姿があった。
「ちょッ、大丈夫!?」
「あたしは大丈夫だけど、李那が…」
泣きそうな声で呟く姫禾。
「平気だよ姫。ちょっと硝子が刺さっただけだから…」
冷静さを保とうとしている李那だが、顔は痛みで少し歪んでいた。
李那の右腕には硝子で切った傷があって、血が止めどなく流れている。
「何か縛る物ない?
止血しなきゃ!!」
私は、止血する為の布を探した。
(あ…確か、あたしの鞄にフェイスタオルがあったような…)
そう思い、私は自分の鞄を探した。
私の鞄は、自分が元いた席とは別の場所にあった。
そして、鞄をあさぐってタオルを取り出した。
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