廃村

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「おい美和、何処に行くんだよ…!」 凌弥が家へ向かう私の腕を掴む。 「離して、大丈夫だから…」 私は凌弥に呟いて、凌弥の手を振りほどいた。 そしてそのまま、民家に足を踏み入れた。 「じゃ、俺も行く。」 そう言って、私の後ろから付いて来る凌弥。 ギィ… 入った瞬間、軋む音が響く。 家の中は全体的に埃を被っていた。 明らかに、ここ何年かは人は住んで居なかっただろう… 奥に進むにつれ、妙な異臭がしてくる。 「…!?何、この臭い…」 「あぁ…」 私は思った… 【これ以上、進んだら駄目…】 なのに、何故か先へ進んだ… 「美和、これ以上ヤバいって!!」 「大丈夫…多分。」 ギィィ… 床が嫌な音をたてる。 その瞬間、私は何かの視線を感じた。 凌弥の視線じゃない… 前方…私の目の前から感じる視線… そして殺気…… 【ヤバい】 すぐにそう感じた。 「……!!凌… 今すぐに此処から出るよ!!」 「は?」 動揺する凌弥。 私は、そんな凌弥の腕を引っ張って走った。
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