489人が本棚に入れています
本棚に追加
「先……生?」
そう、向こうからこちらへ向かって来た影は、紛れもなく私達の学校の先生だった…
でも、その姿は既におかしかった…
先生の腹部には、鋭く尖った木の枝が突き刺さっていて、背中から皮膚を貫いていた。
明らかに、立てるわけがない重症…
そして足…
足には、太ももから膝にかけて引き裂かれたような傷があった。
切傷はパックリと開いていて、血が止めどなく流れている…
歩けるのが不思議なくらいだ…
さらに、手にはコンバットナイフが握られていた…
「先生…大丈夫…ですか?」
凌弥が、恐る恐る声を掛ける。
すると先生は急に顔を上げた。
そして、ニヤリと不適な笑みを浮かべ…
『……皆殺シ……』
そう呟いた…
【殺される……!!】
私は思った。
「逃げるよ!!」
私は、皆に呼びかけた。
皆は私の言葉に即座に反応し、踵を返して走った。
『逃ガサナイ…』
後ろからそう聞こえた…
後ろを振り向くと、あんな重症を負っているにも関わらず、凄いスピードで走ってくる先生の姿があった。
「梓、二手に別れよう!!」
「分かった!!
後で、バスの所で落ち合おう!!」
私達は、二手に別れる事になった。
「美和、こっちだ!!」
私は凌弥に手を引っ張られ右の道を行った。
最初のコメントを投稿しよう!