プロローグ

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椿「ありがとう♪♪やっぱり翼は頼りになるわ♪♪」 ソファーから立ち上がった椿は帰ろうとする翼に抱き付こうと飛びつくが、やはり同じように軽く避けられ二度目の床キッス。 翼「じゃあ帰りま~す」 翼はそんな椿をスルーして出口であろう机の向かい側にある扉まですたすたと歩く。 椿「待ってよ翼~。抱きつかせてえ~」 まるでゾンビのような声で椿は頼み込むが、時すでに遅し。翼は扉を開けようとドアノブを回す。 翼「……ん~?」 だが開かない。もう一度回してみるがどうしても開かない。 椿「残念ね翼♪♪その扉中からじゃあ開かないように改造したの♪♪」 後ろから椿が嬉しそうにそう言っているのが翼の耳に入る。 翼「……それってどういうことですか~?」 ソッとドアノブから手を離すと翼は振り向かず背を向けたまま椿に問いかける。 椿「それはね……《風の糸》」 返答として椿の手から4~5m程の細長い白いロープが現れる。 そのロープを持ち獲物を追い詰める肉食獣のように静かに翼に近づく。 そして翼との距離が1m程まで縮まるとニンマリとした笑顔で背を向けている翼に向かって言い放つ。 椿「貴方を捕まえるためよ♪♪」 そんな爆弾発言をすると椿は翼を指差す。すると持っていたロープがまるで意志があるかのように翼に向かって飛んでいく。 翼(はぁ……《強制転移・対象自分》) 飽き飽きしたように翼は心の中で唱えると翼は忽然とその場から消えた。対象が消えた事によってロープは何も捉えられないまま扉にぶつかるとこちらも消えた。 椿「ちっ!!また逃げられた!!」 残った椿は悔しそうにその場で地団駄を踏んでいた。
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