プロローグ

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――グォォォォォォォ!! 西洋風の古城を印象付ける城の真下から、生き物とは思えない禍々しい悲鳴が響きわたる。 現在、この古城の地下では、4人の人間と30mはある1頭の黒いドラゴンとが死闘を繰り広げられていた。 ???「チッ……流石ダナ。この魔王ヲここまで追い詰めルとは」 翼や右腕をバッサリと斬られている黒いドラゴンが、向かいあう4人の人間の中の真っ赤な大剣を持つ剣士に、忌々しそうに言い捨てる。 ???「ハァ……ハァ……あ、当たり前だ!俺はお前を倒して世界を平和にするんだよ!」 剣を杖代わりにして、やっと立っている状態である剣士は剣を魔王に向けて持ち直す。 ???「これが最後の一撃です!!―――」 剣士の右側に立っている僧侶の格好をした女性が、先端に緑色の円状の宝石をつけた木の杖を、天井に向けて何やら呟き始める。 ???「俺も行くぜぇぇぇぇぇ!!」 今度は剣士の左側にいる格闘家の格好をした男性が、右の拳を下に向け力を込め始めた。 その両手には虎をイメージした籠手をつけている。 ???「……僕が少し時間を作ろう……その間に……」 剣士の後ろにいたピエロをモチーフにした仮面をかぶり、サーカスのピエロのような服装の少年が剣士達を庇う様に前に出る。 ???「小僧一人でナニが出来ル!!」 黒いドラゴンはそう言って嘲笑うと、その長い尾を振り上げ4人に向かって振り下ろす。 ???「……そんな油断が……命取りだよ……」 魔王に向かって呟くと、少年は両手の指と指の間から、お手玉ぐらいの大きさがある赤いボールを手品のように出した。 その数は6。
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