彼の日常

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哀「…………」 哀歌は洋輔の言葉を無視して本を読むのを再開した。 洋「ちくしょぉぉぉ!!どうやったら心を開いてくれるんだぁぁぁぁ!!!!」 哀「…………一生無理」 洋輔の心の叫びに哀歌の冷たい四文字がえぐる。これには流石の洋輔でも効果は抜群らしい。 洋「…………ヒッグ」 洋輔は机に戻って顔をうずめ泣き始めた。 翼「大丈夫だよ~。洋輔」 そんな洋輔を見て可哀想に思ったのかすぐに翼が机に近寄りフォローに入る。 翼「僕と話してくれるんだから洋輔にも話しかけてくれるよ~」 洋「……本当か?」 翼のフォローを聞き少し希望を持てたのか顔を上げる洋輔。顔が涙と鼻水で大変な事になっているが。 翼(……人間って泣いたらこんな顔になれるんだな……) 洋輔の顔を見ながら翼はそう思った。だが数秒で自分の役目を思い出しまたフォローに入る。 翼「うん。近い未来に~」 洋「……近い未来って?」 翼「…………短くて後20年と半年ぐらいかな~?」 洋「何その中途半端!?」 洋輔は翼のボケに対して軽く頭を叩いて突っ込む。まるで若手漫才師のようだ。 翼「う~。痛い~」 少し涙目になりながら翼は洋輔を恨むように見る。だがその顔はまるで悪戯をされて怒っている小動物の様だった。 哀(…………可愛い) 翼の顔を本で隠しながら見ていた哀歌は頬をほんのり赤く染めてそう思っていた。
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