彼の日常

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だがその火の玉は数分がたつと燃え尽きたように消えた。 洋「はぁはぁ……もう無理……」 顔面を汗だらけにして苦しそうに言うとその場に仰向けに倒れた。 翼「流石は中級魔法だね~。たったあれだけでこんなに魔力持っていかれるなんて~」 哀「少し甘く見てました」 倒れた洋輔を見ながら二人は苦々しそうに話す。翼は周りを見てみるが同じように疲れて倒れている生徒が多くいた。 翼(まぁ初めてだからな。あれが普通なのだが……やはりゼロは倒れないか……) 翼はグラウンドの中心で平然と立っているゼロに視線を向ける。 ゼロの周りには十本の氷柱が地面にその切っ先を向けて浮いていた。 ゼロを取り囲んでいた女子の殆どは疲れたようにその場に座り込んでいた。 翼(他に残っている奴らは……茉莉、ミアぐらいか。だがあいつらもそろそろか……) 翼がそう思っていると残っていた数少ない女子も次々と座り込んでいった。 そして最後に残ったのはゼロ一人。 翼「……化け物だな‘あいつも’」 そう意味深げに呟いて視線を元に戻すと哀歌が不思議そうな顔をしていた。 哀「何かありましたか翼?雰囲気がいつもと違いましたけど」 翼「……いや、変わんないよ~。気のせいだよ~」 笑顔でそう答えると哀歌はそうですかと笑顔で言った。 翼「じゃあ次は哀歌の番だよ~」 翼が促すと哀歌は頷くと瞳を閉じそっと自分の胸に両手を置く。
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