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哀歌はその状態で沈黙すると周りの‘空気’が次第に変わり始めた。
洋輔が魔法を使っている時は振り向きもしなかった生徒達が哀歌が始めた途端、まるで誰かに命令されたように次々と哀歌に視線を向ける。
翼(いくら四桜の中で1、2を争うぐらい優秀だと言っても注目し過ぎたろ……)
そして殆どの生徒が哀歌の方を向くと哀歌はゆっくりと口を開く。
哀「水よ我に纏いて厄から守れ《水之流》」
優しくそう唱えると哀歌の周りの地面から円を描くように水がまるで間欠泉のように溢れ出て来る。
翼(まだ若いのにこれだけの魔法が使えるとは……将来有望だな。一応椿隊長にも言っておくか)
哀歌の魔法を見ながら顎をさすりそう考える翼であった。
椿(《……翼~》)
突然翼の頭の中に椿の声が響く。だが翼は慌てる様子はこれっぽっちも見当たらない。
翼(《椿隊長~授業中に《念話》しないで下さいってお願いしたじゃないですか~》)
翼は少し怒り気味にそう念じる。勿論、表情は一つも変わらない。
椿(《ごめんなさいね。急に依頼が入っちゃったからお願い出来るかしら?》)
翼(《他に誰かいないんですか~?》)
椿(《いや、それが貴方を指名してるのよ》)
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