プロローグ

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椿「でも、まだ帰す訳には行かないわよ翼!!」 椿は今にも飛びかかって来そうな凄い形相で翼を睨みつける。さっきまで綺麗だった顔は微塵も無い。 翼「な、なに~?」 その顔と気迫に少しひびりながらも触発しないように内容を聞く翼。そして椿は大きく息を吸って口を開く。 椿「――書類片付けるの手伝って!!」 もっと大事な事を言われると思っていた翼はそんな椿の言葉にキョトンと目を点にしたが、すぐにいつもの顔に戻る。 翼「別にいいよ~」 翼のOKの言葉に椿は嬉し泣きをしたかと思うと猫のように翼に抱きついてきた。だが、 翼「じゃあ~さっさと終わらそ~」 翼はそれを最低限の動きで避け山盛りの書類へと歩いていった。避けられた椿は勢いをつけすぎたので急には止まれず地面とキスをする。 椿「痛たたた。もお、恥ずかしがりなんだから」 鼻を押さえながら顔を赤らめて体をくねくねする椿をよそに、翼は何かに怯えるように肩を震わせる。 翼(椿隊長に抱き付かれたら……うぅ!!思い出したく無い……) どうやら昔、何かがあったようで顔も段々と青ざめていく。 翼(ダメだ~!!あの地獄の記憶が強制開門される~!!) 痛そうに頭を抱えながらも俊敏な動きで書類を片付けて行く翼。そのペースは椿の三倍の速さに相当していた。 椿「う~んやっぱり紅茶は美味しいわ♪♪」 椿は近くのソファーに座りゆったりと紅茶を飲み始めた。 10分後…… 翼「終わりましたよ~」 翼が椿にそう言うとさっきまで山盛りにあった書類は綺麗さっぱり無くなっていた。
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