翼の折れた天使

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枯れ葉が風になびく街。11月の朝は、とても冷たくて心地良い。キンモクセイの甘い香りが、もうすぐ冬が訪れる事を教えてくれる。 「行ってきまーす…」 返事の来ない家に背を向ける。 地面に落ちた枯れ葉を踏み、乾いた音をたてながら歩く少年の名は『斉藤一輝』 高校に通い、剣道部に所属するごく普通の17歳。 「もうすぐ一年終わりかよー…早すぎねぇ?ってか寒くね…?」 誰に話す訳でもなく、ただ独り言となって風に消える言葉。 マフラーに顎をうずめて、冷たく刺さる北風をシャットアウトした。  
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