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昨日と何ら変わりない登校通路。公園があって、外壁がずっと続いてて、柿の木が少し覗いてる。
朝早いせいか、人が見当たらない。いつものことだ。
だが、ただひとつ…見慣れない光景が広がっていた。
「…なんだ?あれ…」
こんなに寒くなっているのに、ワンピース一枚の少女。そして、その背中には…
「…翼…?」
有り得ないと言わんばかりに両の目をこすって再度見てみたが、やはりそこには白く輝く小さい翼がちゃんとついていた。
だが、よく見ると片方が折れているように見える。
「俺…どうすりゃいいんだよ…」
ごもっともだ。
見たところ同い年くらいだが、道端に人が倒れているだけでも大変なことだ。それに加え翼がついた人間なんか、生まれて初めて見たのだ。
一般人ならパニクって当たり前だろう。
「いや…でも怪我してるっぽい…病院?はまずいかな…とりあえず家連れてくか」
一輝は恐る恐る自分のコートで少女を包み、抱きかかえて家へ帰った。
「はい、俺…遅刻確定…」
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