3人が本棚に入れています
本棚に追加
幸い、人が通らなかったのが救いだった。正直、どこから見ても異様な光景だ。
「何やってんだろ俺…」
何とか無事に家まで帰ってきた一輝は、大きなため息を床に落とし、自室へ向かう。
一輝の両親は一緒に住んでいないのだ。父親は数年前、女を作って夜逃げ。母親は海外勤務。1人残された一輝は、仕送りされるお金とバイトの給料で生活していた。
「男の布団で悪いけど、勘弁な」
そう言って、少女を自分のベッドに寝かせる。
まだ気を失ったままの少女には、よく見ると無数の傷があった。何者かに襲われたのだろうか…素足だった少女の両足は、血で滲んでいた。
「治療…したほうがいいかな…薬大丈夫なのか…?」
相変わらずパニクっている一輝。だが不思議と恐怖心はなくなっていた。
落ち着くような、懐かしいような、そんな感じだった。
最初のコメントを投稿しよう!