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そして一番特徴的なのが頭に生えている動物の耳と思わしき獣耳。
ときおりピクピクと動いて完全に体の一部だという事を醸し出している。
そう、彼女らはこの世界――ディレンジアでは獣人、亜人と呼ばれる種族なのである。
獣の特徴を持ち、身体能力も人のそれを遥かに超えている。
この森は彼女ら獣人の種族の狩り場である森だったのだ。
「姫様、それであの者はいかがいたしましょうか?」
「……もう少し様子を見てみよう。 まだ勇者と決まった訳ではないからな。」
傍観を決め込んだ彼女らの視線の先、体をまさぐるのを止めた魁堵はその場に座り込み頭を抱えていた。
(携帯も圏外、ここがどこかも分からない、分かるのはあの本を見たら急に意識がなくなってここにいたって事だけ……一体どうなってるんだ?)
ひたすら考えるが、まったく今の自分の状況が分からない。
分かるのはいつの間にか知らない森の中にいる事だけだ。
その時、ふと魁堵の脳裏をある事がよぎる。
(まさか……兄貴も俺と同じ目にあったとか? 突然いなくなった理由にはなるけどあの時は自分がどうなるか知ってる感じだったよな……。)
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