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気配を殺してはいるが、こちらを狙うような気配を感じた魁堵は立ち止まって辺りを見渡した。
「どうやらもう気付かれた様だな。」
「丸腰ではいささか危険ではないですかな?」
「ハウンドドッグぐらいならまだ大丈夫だとは思うが……。」
(野犬? こんな時に……しかもなんか無駄に大きくないか!?)
うなり声をあげながら魁堵の前に姿を現したのは、数匹の野犬の群れ。
ディレンジアでは『ハウンドドッグ』と呼ばれるポピュラーな魔物である。
性格は至って獰猛、何の装備もない一般人ならあっという間に餌にされてしまう。
(マズいマズいマズい! な、なんか囮になりそうな物は……。)
魁堵がポケットを探っている間もハウンドドッグ達は少しずつ距離をつめてくる。
そこで魁堵は一つの方法を思いついた。
(携帯で音楽を流してそれを投げつければ……! 囮にはならなくても注意はひけそうだな、でも……いやこの際命の方が大事だ!)
魁堵は携帯で音楽を大音量で流し、ハウンドドッグの群れに向けて投げつけた。
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