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「う、うわあぁぁぁ!!」
キシャァァァ!
「チッ、避けろよ!」
そして放たれた矢は、腰を抜かしてその場にへたり込んだ魁堵を今にもその鋭い牙の餌食にしようとしたスレイヤーの脳天を貫いた。
「あ、あ……え?」
「おい! 大丈夫か?」
魁堵がしばらく放心していると、男性と女性がすぐ側まで駆け寄って来た。
「うわあっ!?」
「姫様! まずは落ち着かせませんと。」
「そ、そうだな。 よし、もう大丈夫だぞ?」
「た、たすけ……。」
「だいぶ錯乱しているようですな。」
(な、なんだよなんなんだよ! 訳分かんねーよ! 野犬の次はやたらデカい蜘蛛にどこぞの民族的な人!? ……ん? 人?)
「あ……ひ、人……?」
「ああそうだ、我々はお前の味方だ。 もう大丈夫だぞ。」
「よか……った。」
「ああ、っておい! 大丈夫か!?」
安堵して緊張の糸が切れたか、魁堵はその場にパタリと倒れた。
(父さん母さん、僕はどうやら外国の見知らぬ土地に来てしまったようです……。)
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