第一章 勇者の目覚め

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実は俺はカレーが好物だったりする。 だから久しぶりとは言っても前にカレーを口にしたのは一週間ほど前だ。 「でも今からだとなると時間が……あ、前のルーが余ってたっけ?」 カレーが好き過ぎる俺はルーまで手作りする。 好きな物にかける情熱ってやつだな。 「野菜類も肉もまだあったな……よし! やるぜ! ただいま~!」 俺は気合い一発、自宅の扉を開いた。 「……あれ? 変だな」 いつもだったらわざわざ玄関まで出迎えにくる母親が今日に限っていない。 気になった俺はポケットに突っ込んである携帯を開いてディスプレイを見る。 「……電話もメールもない。 書き置きかな……」 専業主婦の母さんは料理を全部俺がやる関係で、食料品の買い物は全て俺任せにしてもらっているから食料品以外の買い物に出掛ける事は少ない。 たまに近所付き合いでいない時はあるものの、その時は携帯に連絡が入ったり書き置きがしてある……んだけど。 「……書き置きもない。 一体どこ行ったんだ?」
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