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(もしかしてケーキを選ぶのに時間かかってるのか?)
優柔不断な母さんならあり得るなと思い、それならどうしようかと考える。
(せっかくの誕生日に一人飯ってのもな……。)
しばらく考えた結果、俺は母さんの帰りを待つという結論に達し、自室に戻ろうと廊下に出た。
(ん? 今和室から物音が?)
和室の前を通り過ぎようとした時、微かに物音を耳にし立ち止まった。
(もしかして母さんいるのか?)
そう思い、襖を開けてみると……。
「……本?」
そこには母さんの姿はなく、ただ一冊の本が無造作に置いてあるだけだった。
「なんだこの本……勇者のススメ?」
何の気なしに本を拾い上げ、その表紙に書かれたタイトルと思しき字を読み上げるとそれは起こった。
「う……なん、だ……? 急に……ねむ……」
魁堵が意識を失いその場に倒れると同時に本は強く光り輝き、その光が収まる頃には魁堵の姿はそこにはなかった。
「魁堵……とても辛い現実が待っていても頑張るのですよ……。」
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