第一章 勇者の目覚め

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「やっと会える……私の勇者様……!」 ――どれほど時間が経っただろうか、魁堵は現在うっそうと草木の茂った森の中に倒れ伏していた。 「……う、うーん……」 しばらくすると気がついたのか、魁堵は身じろぎをし始めた。 「あ、あれ? ここは……どこだ!?」 キョロキョロと辺りを見渡すが、何故か見知った和室の姿はなく森の中……魁堵は段々と覚醒する意識の中で一つの予想に達した。 (ま、まさか……誘拐!? で、でも服とかはそのままだし……携帯もある。 貴重品は全部あるぞ?) 体や持ち物に異常はないか魁堵が自分の全身をまさぐりだした頃、そんな姿を遥か遠くの茂みから見つめる人影があった。 「あの男が……?」 「そうだ。 世界が危機に瀕した時に現れるという伝説の勇者、そして……。」 「姫様の将来の……ですな。」 「……ああ。」 先程から魁堵を値踏みするように見据えているこの二人、動物の皮でできた腰巻きに、姫様と呼ばれた女性は健康的なボディラインを惜しみなくさらけ出した簡素な胴巻き、そして側近のような男性は同じく動物の皮でできたチョッキを着ている。
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