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夜も更けた頃、召使が双子の部屋をノックした。
「リン様-、レン様-、夕食をお持ちしましたよ-」
しかし返事はない。
召使は眠っているのかと思い、ゆっくりとドアを開けた。
部屋は暗く、しんと静まり返っている。
足音を立てないように、召使は部屋の奥へと入った。
しかし灯りをつけて目に入ったのは、空っぽのベッドと、冬なのに開けっ放しの窓。
ベランダに出てみると、そこからロープが下がっている。
ふと、召使は机の上を見た。
そこに置かれたメモ用紙一枚。
"迷惑かけてごめんなさい"
「っ大臣!大変です!!!」
召使は大声を張り上げた。
この光景を目にした大臣は眉間に皺を寄せる。
すっ、と部下たちに向き直り、怒鳴り付けた。
「城の外、城下町にも人を!!
リン様とレン様を探すのだ!!!!」
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