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それから数時間後、二人は近くの海辺で見つかった。
レンは衰弱しきっていたリンを抱え、逃げ場を探していた。
そのところを、召使と貴族に連れられ城へと帰ってきた。
意識混濁したリンの"離ればなれにしないで"という言葉は、貴族たちの耳にも届けられた。
「全く、何をなさっているのですか!!
この大臣、亡き国王陛下と王妃様に顔向け出来ませぬぞ!!!」
大臣は双子の部屋で嘆いていた。
レンはリンの頭を撫でながら大臣に問い掛けた。
「大臣…、僕らが離ればなれにならないようにするためには、どうしたらいい?」
「それは…やはり…王位継承者が一人にならない限り無理かと…。」
大臣はぼそぼそと答えた。
「王位継承者が一人…。つまり姫か王子がいなくなればいいんだよね。」
レンの瞳はまっすぐリンを見つめていた。
愛しそうな、切なそうな瞳。
「簡単に言われますがレン様…。」
「レン様、まさか…」
レンは立ち上がった。
「大臣、王位継承者はリンを指名してね。」
大臣に笑いかけ、部屋を去った。
ある扉の前にレンは立っていた。
ここを叩けば二度と戻れない。
―…リン。
姉の笑顔を思い浮べただけで、今までの躊躇は消えた。
扉をひらく。
「頼みがある。」
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