彼の国の王宮

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黄の国の王宮。   大きな庭で双子の子供達が雪遊びをしていた。 12歳の誕生日を迎えたばかりの、この国の姫と王子。  いたずら好きな二人は今日も大人の目を盗んで仲良く遊んでいる。     「リン様!レン様!」 二人を見つけた召使が慌ててやってくる。   「やっば!逃げるよ、レン!!」 「オッケー、リン!!」 姉のリン姫と弟のレン王子。 王宮は今日も二人のお陰で騒ぎが絶えない。       やっとの思いで部屋までやってきた双子。 だが待ち構えていた人物がいた。   「お母様!!」 王妃は二人を捕まえて、召使を呼ぶ。       「…まったく、何をしてるの?」 王妃はため息を吐いた。   「レン、今は何の時間?」 レンはおどおどしながら答える。 「ハク先生とお勉強の時間…」   「うん、そうね」 王妃はそっとレンの頭をなでた。   「リン、ハク先生はいまどこにいるの?」 リンは観念したようにぼそぼそと喋った。 「多分、いつもの部屋にまだいるよ…」   「そうよね」 リンの頭も優しくなでる。   「そしたら、これからやらなくてはいけないことは、わかるわよね?」 双子は大きく頷く。   「はい、いってらっしゃい」 王妃は子供達を拘束していた手を離して、背を押した。      近くにいた召使が賞賛する。 「いやぁ、さすがです王妃様」     王妃は得意げに笑ってみせた。 「そりゃあ母親ですもの!」 
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