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リンは走っていた。
ただひとつの部屋を目指して。
さっきの話は多分、レンを支持する人たちの間でもされている。
…どちらかが王になればもう一方は危険因子。
とても邪魔な存在だということがわかった。
もうこの城に、二人一緒にはいられない。
それを認めさせる力は、今の自分たちにはないだろう。
でも、レンと離ればなれなんて絶対嫌だ。
ならばやることはひとつだった。
「…っレン!!」
息を切らせたリンに驚いて駆け寄る。
「リン、どうしたの?!!」
伸ばされた両腕にしがみ付いて、リンはゆっくりと息を吐いた。
「レン…、逃げよう!」
「えっ…?」
リンは今までのいきさつを全て話した。
二人一緒にいるためには、逃げて平和に暮らすしかないと。
話の後、レンは哀しげな顔で呟いた。
「僕…、離ればなれになるのは嫌だよ。」
「私も。だから…」
双子は頷いた。
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